
猫のおやつといえば「チュール」と答える方も多いのではないでしょうか。
手軽に与えられ、猫も喜んで食べてくれるチュールは、飼い主さんにとっても重宝するアイテム。
しかしその一方で、「チュールばかり欲しがるようになってしまった」「ごはんを食べなくなった」という声もよく耳にします。
この記事では
をお伝えします。可愛い猫との暮らしをより健康的に、楽しくするためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
そもそも猫に「おやつ」は必要なの?

結論から言えば、猫におやつは必須ではありません。
しかし、それは栄養面において、という意味です。
総合栄養食をきちんと食べていれば、基本的に栄養面で不足することはないからです。
ではなぜ多くの人が猫におやつを与えるのでしょうか。
このように、おやつには「栄養」以外の価値がたくさんあります。
飼い主である人間だって同じですよね。身体の栄養だけを摂取していれば幸せとはいえません。
ケーキだって、アイスだって、心の栄養には大事。
ただし、主食をそっちのけで、デザートばかりを食べていたら今度は身体を壊してしまいます。
つまり、人間もネコも、ポイントは「正しく付き合う」ということ。
それができれば、猫の健康にも役立つ心強い味方になります。
おやつは必須ではないけど、あった方が幸せな生活には近づける
が私の結論です。
チュールはあげてもいい?注意すべきポイント

子猫期には基本不要!あげなくても問題なし
特にまだ体が未発達な子猫期(~生後6ヶ月程度)には、チュールは与えないでOK。
味に敏感な子猫にとって、チュールの強い味はクセになりやすく、ドライフードなど総合栄養食を嫌がるようになってしまうこともあります。
この時期に大切なことは、大事な栄養をしっかりと摂る習慣をつけること。
総合栄養食をしっかり食べる子になれることが最優先
おやつではなく、ウエットフードの総合栄養食を食べられる舌にするのが、優先の時期と考えます。
なぜなら、猫様は、水分摂取が下手で腎臓の疾患になりやすいということは有名な話。
この時期に、ドライフードだけではなくウェットフードも食べられるように、1日1回はウエットフードを与える生活にしたいものです。
今後の食生活の基盤を作る時期である子猫期は、おやつを与えることはまだお預けかな、と思います。
成猫期・高齢猫には、「適切な使い方」が大事
成猫になってからは、「決まったタイミングで」「ルールを守って」与えるならば、チュールも効果的に活用できます。
前述したように、栄養以外の価値に着目して整理してみましょう
ごほうびとして
お留守番前後や、寝る前など決まった場面でのごほうびとして。
例)飼い主と遊べなくなって寂しい=ちょっと嫌なこと
その前後に、おいしいオヤツがもらえたら、嫌なことが嫌じゃなくなるんです。
例)いつも、お留守番のあとにおやつがもらえる → お留守番するとおやつがもらえる
と変換されます。
「お留守番すると、チュールがもらえる。それならお留守番も悪くないな♪」
コミュニケーションの一環として
⚫︎毎日決まった時間に「おやつタイム」を設ける。
そのことで、猫はその時間を楽しみにするようになります。
猫ちゃんに毎日の楽しみを提供することができますね!
また、おやつを飼い主が帰宅した時に毎回あげることで、
「飼い主の帰宅=おやつ=嬉しい=主様大好き」
と飼い主の存在をよりポジティブなものに捉えてくれる効果もあります。
⚫︎苦手なことにチャレンジした後のごほうび
爪切り、シャンプー、通院など、猫が苦手とするケアのあとに「よくがんばったね」のごほうびおやつを。
嫌な体験を完全にポジティブに変えることは難しくても、「終わったらいいことがある」と覚えてくれると、次回のハードルがぐっと下がります。
ブラッシング嫌いな猫ちゃんには、ブラッシング前後におやつを導入するのもいい方法ですね。
ブラッシング嫌い ー でも終わるとおやつがもらえる ーじゃあ、ブラッシング我慢しよ
「おやつ = 心地よい時間」と結びつけることで、スキンシップに慣れていない猫も少しずつ心を開いてくれるように。
おやつは食事とは別の “心の栄養” として上手に使っていけるとGood!!
薬やサプリメントを混ぜるための補助
投薬時の薬の混ぜ込みにおやつを使うこともありますね。
これは人間の子供でも同じではないでしょうか?
お薬を飲ませるために、ゼリーに混ぜる、アイスに混ぜる。
経験のある方も多いのではないでしょうか。猫も人間も同じ。
お薬飲ませるサポーターとしてのおやつ、あるあるですね。
食欲不振時の補助
いつもモリモリ食べてくれるフードなのに、突然見向きもしなくなること、ありませんか?

猫様は気まぐれ♪
昨日好きだったご飯は、今日はもう飽きた。
そんなことが起こるんですよね。
猫様が飽きたといっても、買い置きドライフードがたくさんあるよ〜、とお嘆きの飼い主様。
チュールを餌皿に敷いてから、ドライフードを出してみると・・・・。
おやつの匂いに誘われて、上にのったドライフードをカリカリ食べてくれることもよくあります。
どうぞ、お試しあれ。
高齢猫の栄養補助や水分補給
シニア猫になると、どうしても食が細くなってしまうものですね。
カロリーが摂取できずに痩せてしまうことは避けたい。
また、元々飲まない水は更に飲まなくなる。
そんな時には、栄養よりも何よりもとにかく「食事をとってもらいたい」そんな時にも活用できると思います。
ただし療養中の猫さんの場合は、もちろん主治医の指示に従ってくださいね。
ライフステージ | おやつの必要性 | 活用の例 |
---|---|---|
子猫(~6ヶ月) | 不要 | なし(基本的に総合栄養食でOK) |
成猫(1~7歳) | 時々OK | トレーニング時、ごほうび、ストレス対策などに |
高齢猫(8歳~) | 有効 | 食欲不振時の補助、トッピング、水分補給に活用 |
NGな与え方
このような与え方をしてしまうと、猫は「鳴けばもらえる」と覚えてしまいます。
さらには噛みついてでも催促する猫になってしまうことがあります。
これは猫にとっても飼い主にとってもストレスになるため避けたいですね。
健康に配慮したおやつ選び:「せっかくなら健康にも役立つものを」

●デンタルケア系おやつ
猫の歯のトラブルは、3歳を過ぎる頃から徐々に増えてきます。とはいえ、猫は犬と違って歯磨きが難しい…。そんなとき頼れるのがデンタルケアおやつ。
- 歯垢をこすり取る構造のドライおやつ
- 酵素などを配合したケア成分入りおやつ
これはあくまで「歯磨きの代わりになる」わけではなく、補助的に使うことが前提。ただし「おやつで健康になる」って、ちょっと嬉しい気がしませんか?
●アレルギーや体調を気にする子には、シンプル素材のものを
「最近吐きやすい」「皮膚がかゆそう」「便が安定しない」などの症状がある場合は、食物アレルギーの可能性も。そんなときは:
- 単一タンパク源(鹿、カンガルーなど)
- 無添加・無着色
- 原材料が明確なもの
などを選ぶと安心です。
おやつの「与えすぎ」に注意!カロリー管理も忘れずに

総合栄養食以外であるおやつは、基本的に「1日の摂取カロリーの10%以内」が目安とされています。
成猫(4kg)なら、おやつは1日20kcal以内が目安
(チュール1本=約8kcal)
これだけ見るとちゅーるを2本までOKと思われがちですが、1日の摂取カロリーの10%以内には一般食も含まれます。
つまり、90%は総合栄養食で、残り10%で一般食とおやつ、ということになります。
90% | 10% |
総合栄養食 | ちゅ〜る1本 ウェット(一般食)etc. |
【番外編】芸を教えるときにも、おやつが大活躍!

実は、猫も「お手」や「ハイタッチ」「ターン」などの芸を覚えられるって知っていましたか?
もちろん犬ほどわかりやすくはありませんが、うまく心理学の「条件づけ(オペラント条件づけ)」を活用すれば、猫もちゃんと学習してくれます。
▼どうやって覚えさせるの?
- やってほしい動作を促す(前足をちょっと持ち上げてみる、手のひらを差し出すなど)
- 偶然でも正解の動きが出たら、即座におやつ!
- 「いい子!」と声をかけてスキンシップも忘れずに
- これを何度も繰り返すと、「この動きをすればいいことがある!」と学習していきます
このやり方は、心理学でいう「正の強化(positive reinforcement)」と呼ばれる方法で、人間の子どもにもよく使われています。
▼注意点
- 褒めるタイミングは“正解の直後”が鉄則
- 長時間やりすぎると猫が飽きるので、1回3~5分以内
- 一度に大量に与えないように、おやつは小さくカットするか低カロリーのものを
▼どんなおやつが向いている?
- チュールなど舐めやすいペーストタイプ
→少量ずつ出して使いやすい - 一口サイズのソフトトリーツ
→パクッと食べられて訓練のテンポが崩れない
芸を教えることで、猫と飼い主のコミュニケーションが増え、信頼関係がより深まります。猫にとっても「頭を使う遊び」になって脳の活性化にも◎。
遊びの延長線で、ちょっとずつ挑戦してみるのもおすすめです!
我が家では、「お手」「おかわり」「おすわり」「おまわり」「チンベル」を覚えました
おやつは「上手に使えば」猫と飼い主の信頼関係UPの味方
おやつの役割は単なるごほうびではありません。チュールを含め、正しく与えれば、猫の健康にも、心の安定にも、そして飼い主との信頼関係にもつながるツールになります。
- 子猫には不要、成猫・高齢猫は目的とルールを持って与える
- チュールはおねだりの習慣づけに注意
- デンタルケアやアレルギー対応など、体にやさしいおやつを選ぶ
- 与える量とカロリーを意識する
おやつは単に「食べ物」ではなく、猫との関係を深めるための道具にもなります。
「おやつ=怖くない」「人と一緒にいると楽しい」と猫が学んでくれれば、それだけで生活がグッと穏やかになります。